一般社団法人エゾシカ協会

伊藤英人の狩猟本の世界


210.『キン肉マン第16巻』ゆでたまご著、集英社、1984年

210.『キン肉マン第16巻』ゆでたまご著、集英社、1984年本巻にはパイルドライバーの変形技「キン肉ドライバー」習得のための修行エピソードが収録されている。悪魔将軍との対戦などの本筋はさておき、山奥での修行中にキン肉ドライバーが生まれた瞬間、つまり、大イノシシに襲われたときにキン肉ドライバーをかけたシーンに着目したい。完全なキン肉ドライバーを初めて受けたのはイノシシであった。

キン肉マンがイノシシともみあいになって、崖から落ちるとき、両後脚をつかんだ。その状態でイノシシの頭を下にし、イノシシの両脇を足で抑え、イノシシが脳天から着地し、キン肉ドライバーが炸裂した。

イノシシの注意すべき攻撃は二つあり、一つは突進、もう一つはよく切れる牙であり、どちらも命にかかわる。これらの攻撃を受けないために、「後脚をつかむ」というのは、私が発見したなかで唯一といっていい防御法、かつ、効果的な反撃である。イノシシの弱点の一つは後脚である。ほかは知らないが、たぶん、ない。後脚をつかんだまま骨盤あたりに乗っかれば、体重で抑え込める。

猪突猛進と言われるものの、まっすぐにしか走れないわけではない。しかし、確かに体は前方に進むことに特化しており、股関節がカタい。片脚をつかむと、もう片方の脚で手を外すことはできない(脚で反対の脚に触れる動きができない)。膝の曲げ伸ばしの動きはできるが、手を外すほどではない。腹筋で体を起こして手を外すこともできない(体が柔らかいアライグマはできる。タヌキはできない)。キン肉マンに両脚をつかまれた時点で、イノシシに勝ち目はなかった。私が発見まで約10年かかったイノシシの弱点を一瞬で見抜いたキン肉マンはさすがである。

私が買ったのは2013年版で、1980年代刊行のものとは「表現を一部変更」しているとのことである。カバーデザインも初版と異なる。

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