伊藤英人の狩猟本の世界

17.『骨角器』大竹憲治著、ニュー・サイエンス社、1989年

動物の骨や歯でできた釣針・銛・鏃などの猟具およびアクセサリーの出土品。プラスチックも金属もない時代に、骨は貴重な材料として活躍していた。骨の適度な軽さ、硬さ、さらに釣針においては味という特性が、骨製品の豊富さを裏づけている。狩猟者にとって骨は、物質そのものとしての価値以上の思い入れがあったにちがいない。強敵を支えていた立派な骨は、猟具に変えても、身につけても心強いものとなる。骨というただの物質を、狩猟者はそれ以上のものに昇華できる。同様に、狩猟肉も、狩猟者にとってはただの肉ではない。

骨格器