伊藤英人の狩猟本の世界

64.『マタギ犬ゴンとイノシシ槍王の闘い』桑原崇寿著、農山漁村文化協会、2007年

現代の獣害駆除の記録文。かなりローカルな狩猟グループの話で、伝統的なマタギの話ではない。狩猟グループがヨソモノ猟師を嫌ったり、鳥獣供養塔の建立にひとり1万円ずつ出すあたりが妙にリアル。ルビが多く児童向けを意識しているけれども、子どもがこういう私的なやりとりを読みたがるとは思えない。「殺(や)る」とか「(猟犬の死に対して)犬死に」という軽率な表現にも、もっと配慮がほしかった。

64.『マタギ犬ゴンとイノシシ槍王の闘い』桑原崇寿著、農山漁村文化協会、2007年