伊藤英人の狩猟本の世界

138.『モツの歴史』ニーナ・エドワーズ著、原書房、2015年

138.『モツの歴史』ニーナ・エドワーズ著、原書房、2015年

原書房社長の肝いり企画だそうである。欧米におけるモツの歴史は日本より深い。モツを店頭に並べる日常風景や芸術作品のカラー写真がきれいで、モツへの親近感がひしひしと伝わり、うらやましい。著者は日本のモツ事情にも明るく、ボンジリなどの焼鳥、塩辛、モツ鍋などが正確に書かれている。
日本で食べられるポトフ、パイ、餃子などは、本場の現地ではモツをふんだんに使う料理であった。日本に入ってきたときにモツ要素が減らされ、普及しやすくなって今に至っているようだ。ソーセージも、われわれがふだんよく見るのはモツ度の低いものばかりである。