伊藤英人の狩猟本の世界

163.『野生動物と野生化家畜』高橋春成著、大明堂、1995年


163.『野生動物と野生化家畜』高橋春成著、大明堂、1995年

地理学は人間活動を無視すべきでないという立場で、野生動物と人間のかかわりを地理学的視点から分析する、偉大な古典的名著。前半はイノシシとクマを中心に、人間活動に振り回されてきた歴史をたどる。後半は世界各地の野生化家畜について、野生化の起源、現在の有害性や利用などを調査しており、地域差や時代背景を明らかにしている。

野生化家畜に着目するのは、性質上、野生の動物のなかでは人間活動とのかかわりが密接だからである。そもそも人間の手により発生した外来種で、人間のそばで、管理、利用、狩猟、駆除などをされて今に至る。

ブタの野生下繁殖を目的とした放逐は、今では生態学的にとんでもない行為だが、大航海時代には難破時・寄港時の食料として一般的に行われていた。

狩猟のために動物を放逐することもある。農業被害とは逆に、狩猟ビジネスの収益をもたらすケースもある。

地域にあった動物管理・狩猟管理をめざすには、歴史を学ぶべきである。