ライフル弾編
1 種類
ライフルの鋼弾は次の2種類です。
(1)純銅製の弾頭(バーンズ弾)
(2)鉛を銅合金で覆った形状をしており、着弾時に芯部に入っている鉛が飛散しないような構造になっている弾頭(フェイルセーフ弾)
バーンズ弾フェイルセーフ弾
バーンズ弾の性能は?(貫通力)
(1)実猟による結果
銅ライフル弾は貫通力が強く、エゾシカの体を容易に突き抜け、かつ破片もほとんど残留しないことが調査結果などからわかっています。
平成10年10~12月に銅弾等を使用して行ったエゾシカの実狩猟から得た貫通力に関する結果は次のとおりです。
この結果からも分かるように、バーンズ弾及びフェイルセーフ弾はほとんどがエゾシカの体を貫通しています。
弾頭の種類 | バーンズ弾 | フェイルセーフ弾 |
エゾシカの捕獲数 | 19頭 | 29頭 |
貫通率 | 95%(18発/19発) | 100%(30発/30発) |
バーンズ弾の性能は?(貫通力)
(2)粘土を用いた結果
バーンズ弾とフェイルセーフ弾の貫通力を鉛弾と比較するため、本年8月下旬から9月上旬にかけて(社)北海道猟友会が行った銅弾射撃練習会において、安土に1枚厚さ4cmの粘土を重ねたものを密着させて置き、約90メートルの距離からの貫通力を確認しました。
なお、射手、銃、火薬量などは同じくするよう設定しました。
【結果】
バーンズ弾とフェイルセーフ弾は、火薬の種類、火薬の量など弾頭以外の条件を同じにして粘土を撃った場合、貫通力は鉛弾のほぼ倍になっています。
【実例1】 | ||
弾頭の種類 | バーンズ弾 | 鉛弾(シェラ) |
貫通した粘土の枚数 | 9枚(36cm) | 4枚(16cm) |
銃の種類 | レミントン760 | |
銃身長 | 22インチ ツイスト? | |
適合実包 | 30-06 | |
弾頭の重量 | 150グレーン | |
薬莢の種類 | レミントン | |
雷管の種類 | フェデラルノーマル210 | |
火薬の種類 | IMR4350 | |
火薬の量 | 58グレーン | |
【実例2】 | ||
弾頭の種類 | フェイルセーフ弾 | 鉛弾(シェラ) |
貫通した粘土の枚数 | 10枚(40cm) | 5枚(20cm) |
銃の種類 | マンリカポリスSSG | |
銃身長など | 24インチ12ツイスト | |
適合実包 | 308Win | |
弾頭の重量 | 150グレーン | |
薬莢の種類 | レミントン | |
雷管の種類 | フェデラルノーマル210 | |
火薬の種類 | IMR4320 | |
火薬の量 | 43.3グレーン |
バーンズ弾 使用上の注意
3 銃身の汚れ
銅弾は、表面がモリブデンでコーティングされているものや、純銅のような柔らかい材質のものがあり、銃身内に汚れが付着することがあります。
このことにより命中精度が落ちてくる場合もありますので、洗矢などを用いて掃除することが必要です。
銅弾、特に純銅弾は鉛弾に比べ銃身内に汚れが付着しやすいのは事実のようですが、銅弾射撃練習会では2名(20発目で1名、30発目で1名)の方が途中で銃口の掃除をされた以外は、そのまま最後まで射撃練習をされましたが、極端に命中精度が下がるというような意見は出されませんでした。
銃によっても付着の度合いが違うようですので、自分の銃の特性を知り、適切に掃除を行うように心がけましょう。