散弾銃の鉛弾規制を受け,「レミントンRXP 平筒用銅弾」と「アポロ タングステンポリマー」の平筒用装弾が発売されました.平筒銃身をお持ちの方,出猟前に「銃身との相性確認」を慎重に!
非鉛スラッグ試射レポート
平成13年9月25日 T.T.
概要
平成13年度より散弾スラッグを利用したエゾシカ猟にも非鉛弾頭規制がかけられる。(ライフルについては前年度より実施済)これに対応する非鉛平筒用装弾については、ハーフライフリングのサボ装弾と異なり本年度より発売開始されたため、試射事例が少ない。このため、ユーザに試射結果を広く広報することにより、自身の銃に合った装弾を選択する一助となればよい。本試射は紙の標的に対する命中精度の測定であり、エゾシカに命中した時の威力については測定できていない。
1. 試射環境
浦臼国際ライフル射撃場 |
平成13年9月24日 |
天候 くもり 18度 無風 |
2. 試射使用銃
Beretta A390 ガスオート |
28インチ銃身 シリンダー(平筒)照星、中間照星付きリブの散弾用銃身 |
3. 試射方法
射距離 50m |
ベンチレスト(先台、銃床をサンドバック委託) |
5発1グループのグルーピング測定(センターセンター) |
標的の関係で、レミントン×2、アポロ×2、レミントン、アポロの順で5発ずつグルーピングを測定
4. 試射結果
(1)レミントンRXP 平筒用銅弾
1回目 | 250mm |
2回目 | 150mm |
3回目 | 400mm(205mm) |
3回平均 | 267mm(202mm) |
()内は明らかにフライヤーと思われる1発を除いた数値 |
(2) アポロ タングステンポリマー
1回目 | 135mm |
2回目 | 135mm |
3回目 | 140mm |
3回平均 | 137mm |
補足(O銃砲店より)
メーカー値 | 射距離50m10発発射で12番は10センチ |
O銃砲店試射値 | 50m12cm(3-9倍スコープ装着) |
上記の結果から見て、今回の使用銃が照星のみということを考えると今回の試射値は妥当な結果と思われる。
5. 結果考察
今回の試射はレミントン、アポロ共15発という非常に限られたサンプルによる結果ではあるが、使用したBerettaに関しては明らかにアポロの方が50mにおけるグルーピングは良いものとなった。また、アポロに関しては狙点より左に5~10cm寄る現象が見られた。実猟に使用する際は想定距離での狙点調整(ゼロイン)が必要になると思われる(スコープ等を使用の場合)。
レミントンの場合、今回は横転弾が見られなかったが(前回テストでは5発中で1発あった)、フライヤーが出ている。また、上下左右の広がりも大きく集弾性に問題があることから試射銃との相性が良くないことが想定される。
6. その他
価格については、5発1ケースで
・ レミントン 2,000円(@400)
・ アポロ 2,700円(@540)
であり、アポロの方が高価である。いずれにしても高価な弾のため、効果的に試射を行い少ない弾数で狙点を調整することが必要になる。今回は50mでの試射結果であるが、単純に考えて100mの距離では2倍にグルーピングが膨らむため、鹿前胸の中心を狙ってもバイタルパートに命中する可能性は低い。このため、平筒スラッグを利用する際はストーキング技術を駆使して近距離に忍び寄り発砲することが高打率を維持する王道になると思われる。それ以上の距離でも発砲したい場合は、ハーフライフリング銃身+サボ装弾、
または可能であればライフルを使用することをお勧めする。
※本レポートは、エゾシカ協会の補助を受け実施した。
以上