青山則靖「料理の理」(9)エゾシカのコンフィ
骨付きの部位を使ったレシピを紹介します。前スネやスペアリブは骨を外すとお肉が少なくなるし、スジが多いので、調理に困る部位ではありますが、このコンフィは柔らかく、冷めても美味しく保存も効いて重宝する一品です。
コンフィとは低温の液体の中でゆっくり加熱する調理法で、お肉だと低温(100℃以下)の油の中で加熱するのが一般的です。フランスではどこのスーパーでも真空パックの鴨のコンフィを見かけます。耐熱性のフリーザーバッグを利用すれば、100CC程度の油で作れます。
前スネは関節の部分を切り落とし、スペアリブは半分くらいの長さにするのがおすすめです。フリーザーバッグに入れて重量の2%程度の塩をして少し置いてから、お好みの植物性油(私は白胡麻油を使ってます)を全体にまわる程度に入れます。骨で袋に穴を開けないよう優しく調理しましょう。
口を開けたバッグを、水を張った鍋に沈めながら空気を抜き、最後にジッパーを閉じて鍋底に沈めた状態で加熱します。水が沸騰し始めたら火を止め、フタをしたまま冷まします。大きな塊はこれを2~3回繰り返します。
一度にたくさん作る場合は、フリーザーバックではなく、油を張った鍋に塩をしたお肉を入れます。直接加熱すると100℃以下に保つのが難しいので、一回り大きな鍋を用意して湯煎するとよいでしょう。油は繰り返し使えます。
コンフィは一度しっかり冷まします。食べる直前に、弱火にかけたフライパンでじっくり加熱しましょう。付け合わせのじゃがいもや人参も一緒に焼くと美味しく仕上がります。外側はカリカリ、中がホロホロと柔らかいコンフィの出来上がりです。
Kitchen Support 青
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一般社団法人エゾシカ協会ニューズレター第48号(2020年3月)から。