私が、シカ猟を始めてから15年になります。初めは日本海側の苫前町から興部町、滝上町まで通った私ですが、平成4年頃から我が町でもシカの被害が出始め、駆除が始まりました。
平成14年からは可猟区になりましたが、シカは増える一方です。当初、年間3~5頭の捕獲だったのが平成10年には15頭、13年には30頭(15年は60頭)と捕獲数も増え続けてきました。
そうなると、その肉をどうするかという問題になってきます。それまでは、シカ肉のレシピ(10例くらい)を付けて知人に配り(もちろん無償)、好評だった人をリストアップして70名位の名簿を作ったりしましたが、シカの被害が多くなった農家からはもっと獲ってほしいとの要求が多く、駆除をしても、その経費が町、農協などの奨励金では賄えない状態になってきました。
そこで、シカ肉の販売を考えたのですが、そのためには許可を受けた処理施設が必要となります。
幸い私には、以前ヤツメウナギの缶詰を製造していた工場(9坪で10年くらい前から原料のヤツメが捕れなくなり中止)がありましたので、保健所に聞いてみたところ、少しの改造で許可を出せるとのことでした。それでも、冷蔵庫や真空パックの機器が必要になることから、町や農協に幾らかでも補助をしてくれる名目はないかと聞いてはみたものの見つからず、結局、全て自費での施設になりました(左の写真)。
15年6月の許可で、当初販路も何もない状態でしたが、何とか買い入れてくれる業者も見つかり、初年としては良い結果で終わりました。
しかし、今年からは、また新しい問題があります。まず残滓の処理です。昨年までは町のゴミ埋め立て施設に埋めていましたが、施設自体が昨年で閉鎖され、今年からは往復1時間もかかる隣町の処理場まで持って行かなければならなくなり、しかも、1頭5000円の処理費がかかるのです。
駆除のシカは町、農協が補填してくれますが、それ以外は自己負担です。これも頭の痛い問題ですね。皆さんのところはどうでしょうか。こんなことではシカ猟をするハンターが減っていくのではないか――と思っています。
(c) Hayashi Toyoyuki 2004
エゾシカ協会ニューズレター16号(2004年6月20日号)から転載