一般社団法人エゾシカ協会

希少植物を守れ! 日本植物分類学会が要望書


 関西や九州地方で、希少な植物群落が野生ジカの食害を受けて危機に瀕していることから、日本植物分類学会(加藤雅啓会長)はこのほど、「南日本・西日本の絶滅危惧植物保全のためのシカによる採植防止の要望書」を政府機関などに送った。

 同学会ニュースレター9号(2003年5月発行)によれば、内部機関の絶滅危惧植物・移入植物専門第一委員会が、絶滅危惧植物のシカによる被害が甚大だ、と指摘。要望書は、鹿児島県屋久島のヤクイヌワラビやヤクシマタニワラビ、宮崎県霧島山系のキリシマイワヘゴ、奈良県大台ヶ原のコウモリソウなどが激減している例を挙げながら、〈シカの個体数が極端に増加した地域では、シカの食物になる植物はほとんど食べ尽くされてしまう現象が見られ〉〈とくに西日本~南日本を中心に植生破壊が広がっており、シカの採植により絶滅が心配される〉と記述した。

 要望書はまた、〈シカの個体数調節、シカの食料となる他の植物資源の確保〉といった長期的対策と、〈絶滅危惧植物種の生育地または最近まで生育地だった場所に柵を設置し、シカを排 除する〉緊急対策の必要性を訴えている。

 要望書の全文を収録した同ニュースレターは、同学会ウェブサイトで閲覧できる。(平田剛士)


エゾシカ協会ニューズレター14号(2003年11月10日発行)より