道立オホーツク圏地域食品加工技術センター
研究員 拔山嘉友
道内に生息する野生エゾシカの資源有効活用に向け、当センターでは平成17年から「生体捕獲エゾシカ肉の加工特性に関する基礎調査と利用法の検討」を行なっています。現在得られている結果は、一般成分(水分、たんぱく質、脂質、灰分)および物性に関する各値については個体差が大きく、一定の傾向は見られていませんが、総色素量と脂肪融点に関しては雌雄間および年齢間に違いがあり、加工特性上重要な形質であると考えられました(図参照)。
今後は狩猟肉との比較を含め、季節変動や捕獲地による違い、熟成による肉質の変化等に重点を置き、食味評価と連動した基礎データの蓄積を行うことになっています。また現在、低利用部位の有効活用に向けた発酵調味料(エゾシカ醤油「えぞ鹿醤」)の開発を網走の第一水産加工業協同組合とともに行なっており、近く発売したいと考えています。さらにこの調味料を使い、ジンギスカンやエゾシカ丼のタレの開発を今後行なっていきます。
(データは「第62回北海道畜産学会H19/9/5」、「日本農芸化学会北海道支部会等合同講演会シンポジウムH19/11/10」より。)
生体捕獲エゾシカ肉の総色素量
「雄」よりも「雌」のほうが、また年齢別では「成獣」の色素量が多い。
生体捕獲エゾシカ肉の脂肪融点
雌雄間、また年齢間に差がある。今後は季節変動に注目したい。
えぞ鹿醤(ろくしょう)
エゾシカ肉を使い肉醤油を開発。旨味成分に富む万能調味料。
エゾシカ協会ニューズレター24号(2008年3月)に掲載