当協会はシカとの共生策を、保護管理、被害防止および有効利用を総合的に組み合わせて行うヨーロッパの方式を参考として、これらの条件を整備するための努力を続けています。
有効利用のためには、衛生管理の問題はもちろん、狩猟者への啓蒙や、食肉としての需要拡大、および流通経路の確立など広範な問題が解決されねばならず、これらの問題について取り上げていただくように、北海道知事あての「エゾシカの有効利用に関する要望書」を去る7月24日に提出いたしました。
道は7月25日に開催されたエゾシカ対策協議会の議題として、この問題を取り上げ、道としても本格的に有効利用の問題を取り上げて検討を開始することになりました。具体的には、自然環境課、食品衛生課、農業改良課、経済部からメンバーを出してワーキンググループを作り検討が開始されることになりました。
平成13年8月24日
北海道知事 堀 達也 様
エゾシカの有効活用に関する要望書
社団法人エゾシカ協会 会長 大泰司紀之
当協会は、シカとの共生策を、保護管理、被害防止および有効利用を総合的に組み合わせて行うヨーロッパの方式を参考として、これらの条件を整備するための努力を続けています。
年間50,000頭以上捕獲されるエゾシカについて、これを自然資源として有効活用を進めることについては「エゾシカ保護管理計画」においても取り上げられていますが、実際のところは、十分利用されないまま現地に放置されるものが多数あります。
エゾシカの有効利用のひとつとして、捕獲されたエゾシカを食用として利用することを推進すべきですが、その為にはシカ肉の安全性が確保されていることが必須条件であり、さらに捕獲から解体・流通までの総合的な体系の整備が必要です。
現在、一部のエゾシカ肉は、食品衛生法や北海道における「野獣肉の衛生指導要領」に基づき、食品営業者が経営する解体処理場で解体処理されていますが、これら処理場を経由して衛生指導を受けるものは全体から見れば少数と思われ、多くは処理場を経由せず自家利用または個人的な販売などが行われているのが実態と思われます。
貴重なエゾシカ資源を有効に活用するとともに、処理場未経由のエゾシカ肉を無くし、エゾシカ肉の北海道特産品としての流通を確立するため、以下の事項についてご指導くださるよう要望する次第です。
記
1、狩猟者による捕獲個体の前処理法
2、エゾシカ資源の有効活用に関する狩猟者への普及啓発内容
3、エゾシカ肉の需要拡大のための方策
以上
(報告 エゾシカ協会事務局 籠田勝基)