回答者の井田宏之さんは、社団法人エゾシカ協会の事務局長です。井田さんが腕を振るった料理の数々は、こちらでご紹介しています。
エゾシカのお肉って、どんな味ですか?
日本人がふだん食べ慣れている豚肉や牛肉に比べると、とてもあっさりしてクセがない、という印象かも知れません。野生動物ですから、筋肉に余分な脂肪は一切ありません。その分、お肉本来の風味をとてもよく感じることができます。シカのお肉は、とても上品な風味です。また、品質にバラツキのない畜肉と違って、個性も豊か。年齢や、雄か雌かの違い、捕獲した時季によってもお肉の味は違ってきます。機会があったら、いろいろ食べ比べてみるのも楽しいですよ。
シカ肉を「もみじ」と呼ぶのはなぜ?
大辞林にも「もみじ=シカ肉の俗称」とあるだけですが、こういうことではないでしょうか。「獅子(しし)に牡丹(ぼたん)」ということわざがあります。この獅子をイノシシにかけて、イノシシの肉を「ボタン」と呼びます。また馬の肉はその鮮やかなピンク色から「サクラ」。同じパターンで、シカ猟はちょうど山のモミジが真っ赤に色づく秋から始まるので、シカ肉=モミジというわけ。そういえば花札でもシカの背景はモミジですね。
エゾシカのお肉はどこで食べられますか?
エゾシカ肉のお料理を出すレストランが、札幌市内など道内で少しずつ増えてきました。フレンチでは、シカ肉は高級食材なんです。エゾシカのお肉は、新得町の「上田精肉店」さん、西興部村の「田尾商店」さん(どちらもエゾシカ協会会員)といったお店で、きちんとした衛生管理のもとでパック詰めされた新鮮なお肉が手に入ります。通信販売も可能ですので、問い合わせてみてはどうでしょう。エゾシカ協会のホームページでご案内しています。でも究極は、あなたがディアハンターになって、自分で仕留めたシカを楽しむことかも知れません。
シカ肉を使ったお勧め料理を教えてください
基本的には、牛肉・羊肉料理と変わりません。同じように料理して美味しく食べられます。「シュパウロウ」などは、元来は羊料理ですが、シカ肉でも美味しいです。(当協会HPで紹介しています。)どんなお肉でもそうですが、美味しい肉は、骨付きでローストするのが最高だと思います。塩・胡椒で味を付け、お好みでニンニク・オリーブオイルをプラスすると良いでしょう。写真は、薪火で2時間スモークローストしたモモ肉です。