伊藤英人の狩猟本の世界

218.『現代思想からの動物論』ディネシュ・J・ワディネル著、井上太一訳、人文書院、2019年

218.『現代思想からの動物論』ディネシュ・J・ワディネル著、井上太一訳、人文書院、2019年

ヒトとそれ以外の動物との関係は、戦争状態にあるという。そこから脱出する方法は「反嚮導」、すなわち軍の行動に従うことを拒むこと、というのが結論であった。

畜産の特異な例や動物虐待が多く取り上げられ、そこに政治や主権が問われていく。専門外の私には難しく、すんなり納得いくものではなかった。私は、肉食やペットをやや強引に戦争ととらえる本書よりは、「和解」を目指すべきとする22.『自然との和解への道(上下)』や、欲望について人間味にあふれた許容をする178.『ぼくらはそれでも肉を食う』、中立的にていねいに論じる194.『食物倫理入門』のほうが親しみやすく、一般受けするように思う。