ほうぼく(放牧)地 ウシかウマか いやシカだ

エゾシカによる農業被害のうち、最も多いのが牧草被害です。北海道全体の農業被害額の約51億円のうち、約20億円が牧草被害でした(令和5年度)。牧草の約4割がシカに食べられているという調査結果もあり、家畜のための餌なのにシカに大量に食べられてしまっているのが現状です。対策として防鹿柵の設置や有害鳥獣捕獲が行われていますが、シカも簡単には撃たれません。撃たれるリスクのある日中は林内で休んで、撃たれることのない夜※になると牧草地に出てくる“出勤スタイル”が良く見られます。日没後にのんびりと、我が物顔で牧草を食んでいる様子は、もはや“シカ牧場”のよう。もうここまで来たら、肉の販売などでこれらのシカから得た利益を、少しでも酪農家さんに還元する仕組みが必要なのではないでしょうか。
※銃による野生動物の捕獲は、日の出から日没の間と鳥獣保護管理法で定められています。
絵札「ほ」裏面クイズ
Q シカの角は英語でアントラー(枝角)、では牛の角は?
シカも牛も同じように頭から角が生えていますが、構造も呼び方も異なります。シカの角は骨でできていて、枝分かれをするため「枝角(アントラー)」といいます。一方、牛の角は頭の骨の一部が突出して芯となり、それを角質でできた鞘(さや)が覆う構造です。この鞘自体の中が空洞なことから、「洞角(ホーン)」と呼ばれます。シカの角は毎年生え変わりますが、牛の角は生え変わりません。そのため一度角が折れてしまうと、一生をそのままで過ごすことになるわけです。牛以外でも、ウシ科のカモシカ、ヤギ、ヒツジなどの角も洞角です。洞角には、とんがりコーンのような形から渦巻き状のものまで、いろいろな形があるのです。
A ホーン(洞角)