青山則靖「料理の理」

エゾシカの酒粕味噌漬

エゾシカの酒粕味噌漬

肉を〝柔らかくする〟という表現がよく登場しますが、これには大きく二通りのアプローチがあります。「元のお肉を硬くさせない方法」と、「元の硬さより柔らかくする」方法です。

前者は、ゆっくり加熱したり(たんぱく質の凝固を防ぐ)、繊維を断ち切ったり(縮みを防止)する方法。後者は、発酵調味料や果汁などに漬け込むことで、お肉の保水性を上げたり、調味料が含む酵素でお肉のタンパク質を分解したりする方法です。どちらも、文字通り理にかなった技法なのです。

後者に当たる酒粕味噌漬けは、酵素の働きがポイントですから、加熱殺菌されたものだと効果が薄れてしまいます。「生味噌」を選んでください。

作例では、肩甲骨近くのお肉を使いました。牛肉だと「ミスジ」「トウガラシ」と呼ばれる、焼肉・ステーキで人気の希少部位です。エゾシカだとさらに少量しかとれず、スジをトリミングするのも難しいので、ブロックのまま調味液に漬け込むのがおすすめです。

酒粕や味噌は料理酒や味醂で伸ばして使います。フリーザーバッグを使うと少ない調味料で済みますし、バッグごと揉み込めば簡単に早く漬かります。バッグに入れたまま保存が利きます。

焼くときは、焦げやすいので、フライパンにオーブンシートを敷いて、蓋をして弱火でじっくり両面を焼いていくのがポイントです。

エゾシカの酒粕味噌漬

エゾシカの酒粕味噌漬

エゾシカの酒粕味噌漬

エゾシカの酒粕味噌漬

イラストと写真と文・青山則靖

Kitchen Support 青


一般社団法人エゾシカ協会ニューズレター第50号(2020年10月)から。