当協会の会員4名が、米国コネチカット州にあるWhite-buffalo社で、3日間の狙撃訓練を受けてきました!

White-buffalo社はシカや野ブタの個体数調整で大きな成果を上げており、米国内外で活動しています。今回は、代表のDeNicola氏から直々に、シカの個体数を減らすための狙撃法、そして求められる技術ついて教えていただきました。

基本となる射撃訓練を受けます。シカの脳の大きさを考慮して、確実に脳を狙撃するための訓練です。まずは射撃場で、実射だけではなくカラ撃ちも繰り返し行い、正確にそして素早い撃ち方を身体に覚えこませます。

DeNicola氏(右)が携帯で時間を計りながら射撃指導

プロフェッショナルな彼らも、動物を撃つときには必ず委託をします。理由は単純明快、「依託したほうが安定するから」。小さな脳を狙撃することが大前提なので、できるだけ安定させて撃つ方法を選択します。彼らの考えはとてもシンプルで、“目の前にいるシカ(対象動物)を全頭確実に倒せる時だけ発砲する。それ以外の時は発砲しない”。この考えに沿って行動します。脳を撃たないと複数のシカを撃つことは出来ません。どうしても安定姿勢が取れずにすべてのシカを撃つ自信がない場合はどうするかというと、発砲しません。これがスマートディア(=捕獲の危険を回避するよう学習したシカ)の発生を防ぎ、その後の高効率捕獲につながるのです。

──目の前に5頭のシカがいた時、1頭を倒して喜ぶのがハンター。5頭を倒す、もしくは発砲しないのがプロフェッショナル!──

射撃場での訓練の最後には試験がありました。決められた時間内に距離の異なる5的を正確に撃つのです。DeNicola氏がランダムに距離を指示しますので、その距離にある的を狙います。緊張感がすごい!その後は森林に場所を移し、車の荷台から林内に設置されているターゲットを狙います。ここでもやり方は射撃場と同様。素早く、正確に。

シカの脳の大きさや狙うべき場所について、写真を使って教わります

林内の射撃訓練は夜間も実施しました。昼間と同じ場所なのに、夜間は全く雰囲気が違います。シカの探し方、ライトの照らし方、役割分担、安全管理等教えてもらいます。昼間よりかなり難しい!

最終日は、DeNicola氏が管理している研究フィールドで、実際にシカを撃ちます。訓練といっても、スマートディアを作るわけにはいきません。確実にすべてのシカを撃てる場合のみ発砲します。また管理上、撃てない個体もいますので、撃つ前には慎重に個体を選択します。順番に射手を務め、4人ともチャンスをものにし、シカの脳をきちんと撃つことができました。

研究フィールドのオジロジカ

数日間で数百頭の動物を捕殺する技能を持つ彼らですが、その技能は捕殺だけに特化しているわけではありません。動物を「管理」することが軸にあり、その一つの手法として捕殺があります。銃の使用が安全上、もしくは社会的に制限されている地域では、対象個体をすべて生体捕獲して避妊処置する場合もあります。捕獲個体のデータも採取し、個体数の増減や個体群の質を常にモニタリングしています。科学的なデータに基づいた長期的な視点で管理を考え、最も適した方法と装備、そして最高の技術でそれを実践していると感じました。

今回の訓練は、朝から日付が変わるまで、ディープで充実した内容でした。米国と日本は状況が異なることは当然ですが、それでも学ぶべきことは非常に多いと痛感しました。技術はもちろんですが、管理や捕獲に対する考え方がとてもシンプルかつ明確で、見習うべきことは多かったです。

DeNicola氏の奥様、Vickieさんには食事の用意含めなにからなにまで大変お世話になりました。また訓練にお付き合いいただきましたCarl氏にも感謝申し上げます。またこのような機会を与えていただきました岐阜大学の鈴木正嗣教授にもお礼申し上げます。

ハンティンググッズが溢れる大人のディズニーランド、Cabela’s

文;松浦、写真;東谷・松浦

2016年9月1日・記