伊藤英人の狩猟本の世界
81.『現代供養論考』松崎憲三著、慶友社、2004年
供養研究の決定版。日本人は供養好きで、石碑好き。本書では残念ながら動植物の例は少なめで、ペット供養のほうが詳しく分析されている。殺生を、取り返しのつかない「死の贈与」と表現する人もいる。そのやりきれない気持ちに対して日本人は供養という行動をとる。猟友会が「鳥獣供養の塔」を建てることから、狩猟も例外ではなく、うしろめたさを感じる行為だということがわかる。この建立は、私には「だったらなんでやるの?」「それで解決になるの?」という簡単な疑問が残るが、最近の供養には感謝の意味も含むらしい。