伊藤英人の狩猟本の世界
82.『環境倫理学』鬼頭秀一・福永真弓編、東京大学出版会、2009年
「開発対保護」「自然対人間」などといった二項対立図式からの脱却が一貫したテーマ。狩猟は第3章「生命と殺生」に出現、獣害問題なども取り上げる。哲学の専門家以外の著者による率直な意見もありがたい。命について考えるには狩猟がおすすめ。狩猟者は、一連の狩猟行為のなかで、倫理の諸問題に当事者としてかかわることになる。本物の狩猟者をめざすために、さまざまな立場や考えを学ぶ努力は欠かせない。