伊藤英人の狩猟本の世界
114.『植物を食べつくすシカ』三浦慎悟監修、金の星社、2012年
小学校高学年向け害獣シリーズの、シカの巻。このシリーズは獣害問題がわかりやすく整理されている。ところどころで挿絵の三浦慎悟博士が解説している。個体数管理の必要性など、先生の強い思いが子供向けに説明される。シリーズの「アライグマ」以外の巻に狩猟が取り上げられているので、れっきとした狩猟本である。
野生動物を被害の視点からみるのは、多くの小学生にとって初めてであろう。小学生に限らず、獣害初心者に説明するときなどに参考になる。
東京都の小学校教員に読んでもらったところ、獣害というテーマを身近に感じづらく、マニアックな印象を受けた、とのことであった。「調べ学習」用だが、一般的な環境破壊のカテゴリには獣害は入っていないそうである。
「動物好き」の生徒はある程度いるらしいので、動物と獣害あるいは狩猟とをつなぐものが必要なのかもしれない。
図書館用での酷使に耐えうる超ハードカバー(堅牢製本というらしい)のため、価格が高め。カバーだけで1200円はプラスしているとみえる。