伊藤英人の狩猟本の世界

152.『日本産哺乳動物毛図鑑』近藤敬治著、北海道大学出版会、2013年

152.『日本産哺乳動物毛図鑑』近藤敬治著、北海道大学出版会、2013年

哺乳類の保護毛(直毛)の走査電子顕微鏡写真集。比類ない。毛髄質の断面像は種同定に有効で、考古学資料や糞の分析に応用しうる、とのことである。カバーの断面像をみてもわかるように、近縁種でも大きな違いがある。

毛先が割れるタヌキ、気室が多く軽いムササビ・モモンガなど特徴的なものがある。各種の生息環境において、外気や水・土・泥・雪などからの防除に役立っているのであろう。そして、それぞれの特性を、刷毛や筆、防寒などに利用してきた歴史がある。

肌触りや保温性については、本書の形態的分析を超えた総合的な検証がいる。そこで、私の毛皮コレクションを用いて独自に検証を試みた。用いたのは、ニホンイタチ、テン、ホンドタヌキ、ホンドギツネ、ノウサギ、ハクビシン、アライグマ、ニホンイノシシ、ニホンジカである。結果はエゾシカ協会ニューズレター第42号で!