伊藤英人の狩猟本の世界

183.『ジビエ 解体・調理の教科書』一般社団法人日本ジビエ振興協会監修、グラフィック社、2018年

 

183.『ジビエ 解体・調理の教科書』一般社団法人日本ジビエ振興協会監修、グラフィック社、2018年

写真でみる野生動物の精肉手順。基本作業がわかるので、素人にはとてもありがたい。野生動物専門の解体施設で処理されており、店に卸せるほど衛生面が完璧。シカイノシシ以外にもアナグマ(イタチ科)を扱ってくれている。

現状では、整備された清潔な環境で解体をする機会はまだまだ少なく、本書がスタンダードな教科書になるには時間がかかる。初心者は、現場ではこんなにきれいにいかないと思っていたほうがショックが少なくてすむ。撮影用なのでしょうがないが、ダニや血がほとんど写っていない。

内臓は異常の有無を確認するために利用されるだけで、ガイドラインに基づいて、食用にしないことを推奨している。

ジビエという呼び名について、私は、日本の田舎でおっさんが捕った国産肉が突然フランス語で呼ばれだすことに違和感がある。フランス料理をたしなむハンターも少なそうなので、「狩猟肉」でいいのではと思う。