伊藤英人の狩猟本の世界
212.『生態学は環境問題を解決できるか?』伊勢武史著、共立出版、2020年
環境問題はまさに一筋縄ではいかない、ひとつの正解に収斂しない難解な問題である。読者対象である若い学生(高校生も読める)に対し、そのことをふまえつつ、自分に(科学者に)できることはなにか、環境問題対策の担い手である著者がどう進路を選択してきたか、研究をどう活かすか、実例を示して説明してくれる。生態学には夢がある。
狩猟を取り巻く諸問題も、環境問題と構造が似ている(環境問題と呼べるのかもしれない)。狩猟者それぞれが高い意識をもって、解決に向かって邁進してほしい。猟友会の帽子に「遵法狩猟」とあるが、それだけではレベルが低い。
勉強するなら生態学がおすすめ。この本を平積みしていた丸善筑波大学店は頼もしい。