伊藤英人の狩猟本の世界
232.『食料獲得の技術誌』W.H.オズワルト著、加藤晋平・禿仁志訳、法政大学出版局、1983年
現存する民族の使う食料獲得道具を調べ、使いみち、複雑さ、発達などを類型化する。ちょっと文化進化論っぽい感じを受けるが、古めの本なのでまあしょうがない。
「握り棒」と総称される(北海道ではボッコと呼ばれる)単純な木の棒が、普遍的に、非常に重要な位置づけにある。まず棒と石があり、それらを合わせた武器(槍・斧・弓矢)や農具(鍬ほか)が、長きにわたる人間の物質文化形成の主役であったことは間違いない。
本書は食料獲得道具について、「技術単位」という指標で道具の複雑さの数値化をしている。技術単位の定義には数十ページも割かれているが、ようするに手を加えた数である。もっとも複雑な道具はワナである。ワナ猟者としてはワナをもっと特集してほしかった。
動物との接近戦において棒は欠かせない。私はホーマックで1000円くらいで買える「鍬の柄」を削って、常に携帯していた。棒術を極めればたたく必要はないし、まして銃などいらない。