伊藤英人の狩猟本の世界

235.『科学者たちが語る食欲』D.ローベンハイマー・S.J.シンプソン著、櫻井祐子訳、サンマーク出版、2021年

235.『科学者たちが語る食欲』D.ローベンハイマー・S.J.シンプソン著、櫻井祐子訳、サンマーク出版、2021年

食品・健康・医薬品会社の偏ったアピールを排除し、科学的、具体的には昆虫栄養学的アプローチから人間の食の解明に挑む。怪しい類書が多いなか、東大生協に面陳されていたため信じて手にとった。

現在の飽食と体重増加の要因および対策について、バッタの共食い現象から順を追って書かれる。章が細かく分けられ、各章末にまとめがあるため、読者にとてもやさしい。

まず、食欲がひとつではないことがわかる。「おなかすいた」「おなかいっぱい」だけではなかった。食欲には、「タンパク質欲」「炭水化物欲」「脂肪欲」がそれぞれある。そして、体が最優先するのがタンパク質欲で、タンパク質が満足されない限り食べ続け、カロリーが増加してしまう。これが著者らの提唱する「タンパク質レバレッジ仮説」。

狩猟肉は変な添加物ないし、獲るの大変で運動になるし、優秀な食品である。あとは自分の食欲を信じよう。