伊藤英人の狩猟本の世界
290.『アウトドアナイフの作り方 改訂版』服部夏生編集、ホビージャパン、2022年
ナイフを自作するガチ勢向けの本格的な指南書。金属加工の機械があれば、熱処置前の鉄は簡単に加工できる。本書の方法を忠実に再現することで、そこそこ使えるナイフができるが、売り物にするほどの品質に仕上げるのは難しい。私も全然修業が足りない。
市販のナイフは、当然、ごく一般的な形状をしている。なかなか高価で失敗できない買い物だが、手に合わないことはよくある。未熟なナイフ技術のせいにしつつ、一方で、手に合いそうなナイフを探しつづける。それでもなお自分なりの形や使い方を追究するなら、お店と相談しながらカスタムナイフをデザインし、オリジナルナイフを作ってもらう。そのあと、ついに、本書を参考に自作、となるだろう。しかし、もしかしたら、自作が最短で最安値の選択になるかもしれない。
市販ナイフだけでも充分、狩猟ができる。自作してみて、かえって市販ナイフのすばらしい形態美、効率性、機能性を感じることができた。用の美を表現するにふさわしい美術品でもあるが、封印して飾ることなく、使いながら改良していきたい。