一般社団法人エゾシカ協会

塩のチカラ


塚田宏幸 (バルコ札幌)

エゾシカ肉のスープ

 一口に「塩」といっても、世の中にはたくさんの塩がある。地中深くから掘り出した「岩塩」、海水から作られる海塩」、塩湖の「湖塩」など。
 そもそも、原初の生物は海で生まれた。進化の果てに、もはや海中では生きられないわれわれ人間も、その体液には塩分を含んでいる。医療の場で使われる生理食塩水とは、人間の体液とほぼ同等の0.85~0.9%の食塩水のことをさす。塩なくして人は生きられない。
 人間は毎日の食事から知らず知らずと塩分を摂取している。天然の塩には多くのミネラルが含まれ、人体のミネラルバランスに近い塩を選ぶことで、体内のミネラルバランスを整える作用があるともいわれている。
 同様のことが動物にも見られ、岩塩を舐めたり塩分を多く含んだ土を食べミネラルバランスを整えている様子が確認されている。まだ見たことはないが、きっとエゾシカも必要であればそうしているはずだ。
 そんな塩をテーマにした、エゾシカ肉のスープをご紹介しよう。ポイントは、第一に塩分濃度を生理食塩水と同等に仕上げること。第二に、ミネラルバランスの良い天然塩を使うこと。私はコレを「飲む生理食塩水」と呼び、いつもこのスープで体内のミネラルバランスを整えていマス。
 さらに、ご存知のようにエゾシカ肉は、高たんぱく低カロリーで鉄分も豊富。スネ肉にはコラーゲンも多く含まれる。とくに女子のみなさんには必須のスープ(ちょっといいすぎか……)なので、ぜひトライしていただきたい。

エゾシカスネ肉のスープ(4人分)

材料
エゾシカ肉(スネ)400グラム、水1リットル、昆布10グラム、天然塩8.5グラム、ローリエ1枚、タイム1枝

(1)ボウルの水1リットルに昆布を半日ほど浸し、出汁をとる。
(2)エゾシカスネ肉を食べやすい塊に切り分けて流水にさらす。
(3)圧力鍋にシカ肉、昆布出汁、天然塩、ローリエ、タイムを入れて、蓋を外したまま火にかける。好みの野菜(ニンジン・玉ネギ・セロリなど)を加えて煮込むとなお美味しい。
(4)沸騰したらアクを丁寧に取り除く。スープの量が減ってきたら湯を足して、元の量を保つ。
(5)鍋を蓋で密閉する。圧力がかかったら弱火でおよそ30分加熱し、火を止める。
(6)圧力鍋の圧力が抜けたら蓋をはずし盛り付ける。
※家庭に圧力鍋がない場合は、弱火でコトコトと肉が柔らかくなるまで(およそ2時間)煮込む。


エゾシカ協会ニューズレター31号に掲載

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