伊藤英人の狩猟本の世界
154.『動物のいのちを考える』高槻成紀編著、朔北社、2015年
伴侶動物、産業動物、動物園動物、野生動物のほか、ヒトを含む生殖技術、原発事故に巻き込まれた動物について、たとえば動物園の意義や、「人工授精はどういう技術で何が問題か」「山奥の増えすぎた動物をなぜ減らすのか」などの身近な難題を、それぞれの専門家が問題提起している。ペット業界の闇や被曝地のペットの悲惨な話、野生動物の猛威など切迫感のある問題もあり、それぞれの発言に科学者としてのプライドを感じる。
カバーデザインにはいのちの重みを感じるが(もっと明るくてよいと思った)、内容は決して難しくなく、動物のことで問題意識をもちはじめた高校生や大学生に勧めたい一冊である。
狩猟者は野生動物の章に登場。功罪と負担、今後の役割について書かれている。