伊藤英人の狩猟本の世界

259.『森林と野生動物』小池伸介・山浦悠一・滝久智編、共立出版、2019年

259.『森林と野生動物』小池伸介・山浦悠一・滝久智編、共立出版、2019年

森林科学シリーズの一冊で、かつての「林学」の一部、動物編。日本の森林利用の変遷の流れで林業被害が語られるところは林学らしいが、ほかは生態学や野生動物管理学と呼べるかもしれない。

第1部では森林とネズミ・ウサギ、シカ、カモシカ、クマ、コウモリの関係が各章で論じられる。ニホンジカの章では、ページは少ないながらも、シャープシューティング、モバイルカリングによる個体数調整に触れられている。くくりワナの特徴について、設置と運搬が容易、安い、錯誤捕獲の恐れなどの説明がある。

ワナについては、「高度な技量とともに選択にあたっての慎重さが求められる」としている。私はワナを製造するようになって、使用者ははたしてワナを正しく使えているのか、また、ワナの性質を正しく理解して使っているのかと、疑問を抱いている。正しく使えば捕獲率は上がるし、錯誤捕獲は問題化しないレベルまで減らせるはずである。