更科源蔵著、北海道出版企画センター、1976年

1946年刊行の同名の北海道動物エッセイの復刻。開拓者の、家畜や野生動物とのかかわりがおもしろい。構成は『わが動物記』に似ていて、字が大きめの、10ページ弱のコラム集なのでかなり読みやすい。
「鹿の行方」は8ページしかないが、開拓時のシカの多さ、シカ猟の人気ぶり、食害と対策、激減と保護など、今に通じる重要なテーマが記述されている。
「兎罠」には、狩猟法制定に対する怒りが率直に書かれている。「百姓よりも(畑を荒らす)兎が大事なのか、いや百姓は兎に食い殺されてもいいのか」という声が全道にあったのでは、と推測している。(2016年9月記)