満岡伸一著、アイヌ民族博物館、1987年

初版は1924年。明治から大正にかけて、アイヌ文化が内地人に滅ぼされつつあることを危惧し、研究者ではない著者が独自に白老アイヌ文化を聞き書きしまとめたもの。
記録にかける著者の情熱はすさまじく、挿絵まで全て自分で描く。アイヌはやはりひどい仕打ちを受けているが、著者の眼差しは優しい。評価も高く、何度も再販されている。
アイヌはクマを熟知しており、出会ったときの対処法は正確である。犬がやられて武器もとられたら、抱きついて、咬まれないほどの超接近戦とし、マキリで心臓を刺すしかない。
矢毒の調合によってクマが倒れる時間を調節する。早すぎると食用にも毛皮用にも向かない。日頃から祈りを欠かさず、技術的・精神的にクマとギリギリの戦いを続けてきた。しかし、著者はいう。「昔の様な勇敢な而も神秘的な熊狩は今後再び見られない。」