青山則靖「料理の理」
エゾシカモモ肉のロースト
「Kitchen Support 青」フードプロデューサー青山則靖です。色々なところでエゾシカの料理講習会の講師をさせて頂いていますが、必ず登場するのが「エゾシカロースト」。エゾシカに携わる方々でしたら一度はチャレンジしたことがおありでしょう。でも失敗することも多いですよね? 絶対に失敗しない作り方をご紹介します。
材料(4人分)
- エゾシカモモ肉 300~500g
- 玉葱(ドレッシング用) 0.3個
- にんにく 1片
- しょうゆ 30cc
- 酢 30cc
- サラダ油 30cc
- 玉葱(オニオンスライス用) 0.5個
作り方
- 1、お肉の脂や筋膜をきれいに取り除き、室温に戻しておきます。お肉の部位は外モモやシキンボなど繊維が真っ直ぐで筋の少ないところが向いています。
- 2、大きめの鍋に3/4のお湯を沸かしておきます。
- 3、お肉に塩・胡椒をして、フライパンで表面を焼きます。
- 4、キッチンペーパーで3のお肉の余分な油を拭き取ります。
- 5、4のお肉をフリーザーバッグに入れます。
- 6、2のお湯の火を止めて1/4の水を入れます(これで約75℃)。
- 7、お湯の中にフリーザーバッグの口を開けたまま半分沈め、空気が抜けたら口を閉じて30分以上放置します。お好みの厚さにカットして出来上がりです。
アドバイス
家庭にあるもので簡単に作っておりますが、調理業界では大量調理の主流になっている"真空調理"の応用なんです。ローストは通常、オーブンで作ることが多いと思いますが、これは人間に例えるとサウナで温まっている遠赤外線の輻射熱、フライパンの加熱は岩盤浴のような伝導熱、そして真空調理はそれをお風呂(対流熱)に変えてしまう調理法です。
でもそのまま入れるとローストではなく茹でたお肉になってしまうので一枚ドライスーツが必要、真空調理では真空パックを使いますが、業者さんでもない限りなかなか持っていないと思いますので、簡易的にフリーザーバックと水圧で代用しております。
この作り方のもう一つのメリットは芯温管理のしやすさです。
上記のレシピは簡単にしておりますが、ローストの美味しい芯温は63~68℃くらいです。もっと完璧に作りたければ温度計できっちり湯温を計ればお好みの芯温に仕上げることが出来ます。
食肉の加熱調理の安全基準とされる「中心温度63℃・30分以上の加熱」もしくは「75℃・5秒以上の加熱」というのも満たすことができます。
温かいままでも冷やしても美味しく召し上がれますし、冷凍保存も可能ですので常備しておくと便利ですよ。
イラストと写真と文・青山則靖
一般社団法人エゾシカ協会ニューズレター第41号(2016年10月)から。