青山則靖「料理の理」
エゾシカ煮込みハンバーグ
今回は煮込みハンバーグを紹介したいと思います。
赤身のエゾシカ肉100%で作ると硬くなりやすいので、豚挽肉と合挽きにする方法もありますが、エゾシカ肉100%にこだわるなら、〝つなぎ〟を増やすのがポイントです。今回のレシピは〝つなぎ〟を通常の倍くらいの分量にしています。
大切なことは、初めに挽肉を塩だけでよく練って粘りを引き出し、ひとまとまりにしておくこと。ここをしっかりとやらないと、「挽肉」対「つなぎ」になって混ざりが悪く、凸凹した焼き上がりになり、食感にばらつきが出てしまいます。
食材を入れていく順番もとても大切です。「卵→炒め玉ねぎ→パン粉」の順序を守ってください。
卵は全体を柔らかにします。卵を入れるといったん挽肉が分離しますので、またひとまとまりになるまで、よく練ります。玉ねぎはバターで透き通るまで炒め、冷ましてから加えましょう。炒め玉ねぎはクッションの役割。挽肉に間に空間を作って柔らかな食感を生み、縮み防止にもなります。パン粉は、牛乳に浸さずにドライパン粉を最後に入れます。パン粉には、肉汁を吸い取りつつジューシーさを維持するスポンジの役割があります。
具材がすべて混ざったら冷蔵庫で30分以上休ませて落ち着かせてから焼いていきましょう。丸めて広げて弱火でふたをしてじっくりと片面を5分程度、さらに裏返して3分程度。
最後にお好みのソースを入れて5分程度煮込むことで中心まで完全に火が入り、焼きムラもなくなります。めんつゆくらいの出汁に片栗粉でとろみをつけたり、トマトジュースで煮込んでチーズを入れたり、デミグラスソースやカレーなどアレンジも多彩にできます。
イラストと文・青山則靖
一般社団法人エゾシカ協会ニューズレター第47号(2019年10月)から。