青山則靖「料理の理」
エゾシカチャップ
ロース肉で作るエゾシカチャップです。ロース肉は、ステーキやローストなどメインディッシュになる高価な部位。調理自体は「切って・焼く」とシンプルなので、ロース肉のステーキでシカ肉料理に初挑戦、という人も多いでしょう。でも火入れが意外に難しく、上手く焼けずに「シカ肉は硬い」という残念な印象を与えてしまいがちな部位でもあります。下ごしらえに一手間かけて焼き上がりをやわらかく、ご飯もお酒も進む味付けにアレンジしたのがこの一品です。ポイントは
・お肉の筋を切ること
・焼く前にお肉に小麦粉をまぶすこと
これで火入れもあまり神経質にならなくても美味しくなります。
まずは筋切り。今回は脂付きのロースを使いましたが、脂と肉の間にある筋を確実に切ることが大切。ここが切れていないと加熱時に筋が収縮して肉が反り返ってしまいます。また噛みきれなくて食感が悪くなります。
続いて、お肉の両面に小麦粉をまぶしてしっかり払います。小麦粉をまぶすと焼いた時に肉が縮みにくく、ソースの絡みもよくなります。
鍋は予熱しない「コールド・スタート」で。フライパンにバターとロース肉を入れてから火をつけます。片面を中火で焼いて、肉汁が浮いてきたら裏返します。ここで薄切りにした玉ねぎときのこを投入し、野菜がしんなりしたら調味料を加えます。ケチャップ▶中濃ソース▶トマトジュース、と濃度が濃い順番に入れていきましょう。
仕上げに赤ワインを注いで一煮立ちさせると、さらに美味しくなります。
1 エゾシカロース肉の筋を切り、塩・こしょうをします。
2 小麦粉を全体的にまぶし、
3 フライパンにバターとともに入れ、火をつけます。
4 肉汁が浮いてきたら裏返し、薄切りにした玉ねぎ、ほぐしたきのこを入れて炒めます。
5 玉ねぎが透き通ってきたら調味料を入れて全体的に絡んだら完成です。
材料と分量(2人分)
エゾシカロースステーキ用 | 2枚 |
玉ねぎ | 1/4個 |
きのこ | お好みのもの100g |
バター | 10g |
トマトケチャップ | 大さじ2 |
中濃ソース | 大さじ1 |
トマトジュース | 大さじ3 |
塩・こしょう | 適量 |
小麦粉 | 適量 |
写真と文・青山則靖
一般社団法人エゾシカ協会ニューズレター第55号(2023年10月)から。