青山則靖「料理の理」
シュークルート
今回紹介するのは、シュークルートというフランスはアルザス地方の郷土料理です。もともとは、千切りにしたキャベツを乳酸発酵させた漬物を指しますが(ドイツ語だとザワークラウト)、塩漬け肉とベーコン・ソーセージ、さらにジャガイモ・人参などと一緒に煮込んだ料理もシュークルートと呼ばれます。
作例では、小さめのエゾシカの前脚を骨付きで使いました。このサイズの部位は、トリミングするとお肉が小さくなりすぎて料理法に迷うのですが、骨付きのままならご馳走感バツグンです。鍋のサイズに合わせて肩・腕・前スネの部分にカットしたら、重量の2%程度の塩を擦り込んで3~5日間、寝かせます。この下ごしらえで、旨味が凝縮して深い味わいになります。
肉は水から火にかけ、茹でこぼしてアクを抜き、水洗いして新しい水に替えて再度火にかけます。これで澄んだスープになります。お肉がホロホロと骨から外れるくらいまで、圧力鍋だと15 ~ 20 分、常圧だとコトコトと1~2時間。ここで火を止め、いったん冷まします。固まった脂はお好みで取り除いてください。
食事の時間に合わせて根菜を加えて再加熱し、ジャガイモが軟らかくなったらソーセージ・ベーコン、そして主役のシュークルートを鍋に投入。全体が温まったら完成です。
お肉からの塩分で味が変わるので、食べる直前に塩で調味してください。作例では、無調整で丁度良く仕上がりました。マスタードをたっぷりつけて召し上がれ。白ワインととても相性が良いですよ。
1 エゾシカの前脚を肩・腕・前スネに切り分け、重量の2%の塩を擦り込んで数日間寝かせます。
2 骨付き肉を水から煮て茹でこぼし、水洗いします。
3 鍋に水を張って骨付き肉を入れ、火にかけます。圧力鍋で15~20分、常圧だと1~2時間煮込みます。
4 肉が骨からホロホロとほぐれるようになったら、一度冷まします。
5 鍋にじゃがいも・人参・玉ねぎを加えて加熱。じゃがいもが軟らかくなったら、ソーセージ・ベーコン・シュークルートを追加し、塩で調味して完成です。
材料と分量(試作時)
エゾシカ骨付き前脚 | 2~3kg(小さめの個体) |
塩 | 40~60g |
じゃがいも | 2個 |
にんじん | 1本 |
たまねぎ | 1個 |
ソーセージ | 4本 |
ベーコン | 4枚 |
シュークルート(ザワークラウト) | 50g |
※分量は試作時のもの。適宜調整ください。
写真と文・青山則靖
一般社団法人エゾシカ協会ニューズレター第54号(2023年4月)から。