青山則靖「料理の理」

エゾシカ無水カレー

エゾシカ無水カレー

エゾシカ無水カレー

定番のカレーです。市販の固形ルーは簡単で便利ですが、チキンやポークの旨味エキスが使われているので、エゾシカ肉の旨味をしっかり味わうなら、カレー粉を使い、水も加えない「無水カレー」がおすすめです。

選んだ部位はシンタマ(モモの一部)。スジと筋膜のトリミングがちょっと面倒ですが、赤身とスジの旨味のバランスがカレーには最適です。他の部位でも、少々スジのある部位の方が美味しいカレーになります。

肉はあらかじめカレー粉をまぶし、ヨーグルトに漬け込んでおきます。ヨーグルトの乳酸菌がエゾシカ肉のタンパク質を分解して肉を柔らかく、またドリップの臭みを取ってくれます。常温で1時間程度おきましょう。

鍋にバターを溶かし、カレー粉と香味野菜を炒め、香りが出てきたら玉ねぎを加えてしんなりするまで炒めます。エゾシカ肉をヨーグルトごと加え、トマトも入れて、フタをして20分程度煮込みます。スパイスは、油脂に溶けて香りを持続する性質がありますので、炒める順番を守りましょう。バーブレンダーを使うと、簡単にとろみのあるソースになります。

最後に味付けです。メインは塩、香り付けにバター、隠し味としてジャム(今回はハスカップ)を入れてみましょう。甘みを加えると味覚の対比効果によって辛味と塩味が際立ち、味が引き締まります。

エゾシカ無水カレー

エゾシカ無水カレー

エゾシカ無水カレー

エゾシカ無水カレー

イラストと写真と文・青山則靖

Kitchen Support 青


一般社団法人エゾシカ協会ニューズレター第51号(2021年10月)から。