青山則靖「料理の理」
エゾシカのチンジャオロースー(青椒肉絲)
エゾシカ肉は硬くならないように調理するのが美味しさのポイントですが、歯ごたえのあるお肉をよく噛んで旨みを口いっぱいに味わうのも美味しいです。それにぴったりなレシピを今回は紹介します。エゾシカ青椒肉絲です。細切りのエゾシカ肉にピーマンを竹の子の食感、オイスターソースの旨みがエゾシカ肉の旨みをさらに引き立たせてくれます。
しっかりとした食感を味わうためのポイントは、硬くならないように通常は繊維に対して垂直になるようにカットしていきますが、歯ごたえを味わうには繊維に沿って切るようにします。繊維の方向が分かりやすい外モモや内モモ肉を使うのがおすすめです。
ただ、そのまま焼くと硬くなるだけなので、下味・衣付けをして硬くはならず噛み応えのある食感にしていきます。
さらにフライパンに油と共に入れてから火をつける「コールドスタート」いう技法で急激な縮みを予防して硬くならずに噛み心地のよい食感にします。
ピーマンと竹の子入れたらしっかりと油を回し、透明感が出てきたところに残りの合わせ調味料を入れます。強火で煮詰めていくとお肉の衣の片栗粉がとろみになっていきますので、仕上げにごま油で香りを付けたら完成です。
ごはんにもお酒のお供にも合いますし、脂の少ない部位なので冷めても美味しいのでお弁当にも最適です。普段使いのエゾシカ料理としてレパートリーに加えてみてください。
イラストと文・青山則靖
一般社団法人エゾシカ協会ニューズレター第44号(2018年3月)から。