青山則靖「料理の理」

エゾシカの担々麺

エゾシカの担々麺

道内の高速道路PA・SA(パーキングエリア・サービスエリア)のレストラン同士が競い合う「エゾシカメニューコンテスト」の審査員を、ここ数年、務めています。「先を急ぐドライバーさんに素早く提供できて、認証エゾシカ肉を使った一品」という条件で、定食・丼ものから麺類まで、毎回アイディアいっぱいのメニューが登場して、私もとても勉強になります。出品作は原則としてエゾシカ料理フェア(3カ月)の期間限定商品ですが、そのまま通常メニューに残る人気料理もあります。

今回紹介するエゾシカ担々麺もその一つです。家庭で簡単に作れるようにレシピをアレンジしました。エゾシカ挽肉をじっくり炒めて旨味を引き出し、そのままスープの出汁にします。

美味しく作るポイントは、炒める順番です。最初はにんにくと豆板醤。弱火でじっくり、素材の香りをゴマ油に移す感じで炒めます。そこへ挽肉を加えて強火に。ここで炒め方が甘いとアクや臭みがスープに移ってしまうので、「炒めすぎ?」と思うくらいまで完全に火を通しましょう。

続いて練り胡麻を入れ、調味料を加えますが、ここでも酒→みりん→水→しょうゆの順番を守ってください。「スープの素」的なものを入れたくなるかもしれませんが、不要です。純粋なエゾシカの旨味を味わいましょう。

また、汁少なめの混ぜそば的にしたい場合は、水2・酒1・みりん1・しょうゆ1くらいまで濃くしても大丈夫です。
仕上げにすり胡麻を入れ、茹で上げた中華麺にかけて完成です。辛味は豆板醤やラー油で調整してください。青菜やネギをトッピングするとさらに美味しくなります。

このスープは鍋料理にも応用できます。寒い季節にぴったりのエゾシカ担々鍋もお楽しみください。

イラストと写真と文・青山則靖

Kitchen Support 青


一般社団法人エゾシカ協会ニューズレター第49号(2020年10月)から。